対格:名詞
ロシア語における対格(винительный падеж)は、動詞の直接目的語を示す重要な格です。典型的な使用例としては「買う」「読む」といった動詞に続く名詞が対格になります。また、前置詞 через(〜を通して、〜後に)、о/об/бо(〜にぶつかる・接触する)なども対格を要求します。
対格は主格とは異なり、文の中で動作の対象となるものを示します。
男性名詞(単数)
不活動体(物体・概念など)の男性名詞は変化しません。
活動体(人・動物など)の場合は生格と同じ形をとります。
子音で終わる名詞 → 語尾に -а を加えます 。
студент → студента
ь または й で終わる名詞 → 語尾に -я を加えます 。
гость → гостя、герой → героя
女性名詞(単数)
а で終わる名詞 → 語尾を -у に変更します。
я で終わる名詞 → 語尾を -ю に変更します 。
неделя → неделю
ь で終わる名詞 → 変化しません。
複数形
不活動体の男性名詞は変化しません。
活動体の場合は生格と同じ形をとります。
対格を要求する前置詞
対格を要求する前置詞 以下の前置詞は、動作の対象・方向・経過時間・接触などを表す際に使われ、対格をとります。в「〜へ(空間への移動)」 → Я иду в школу.(私は学校へ向かっている)
на「〜へ(表面・イベント・交通などへの移動)」 → Она положила книгу на стол.(彼女は本をテーブルの上に置いた) → Мы идём на концерт.(私たちはコンサートに行く)
за「〜の向こうへ/〜を取りに」 → Он зашёл за угол.(彼は角を曲がった) → Я пошёл за хлебом.(私はパンを買いに行った)
под「〜の下へ(位置への移動)」 → Кот залез под стол.(猫がテーブルの下にもぐった)
через「〜を通って/〜後に」 → Мы прошли через парк.(私たちは公園を通り抜けた) → Через час начнётся встреча.(1時間後に会議が始まる)
о / об / обо「〜にぶつかる/接触する」
前置格(「〜について」など)で使われる場合とは異なり、対格とともに用いられる場合、物理的な接触や衝突を表す際に使われます。
удариться(ぶつかる)вытереть(拭く)споткнуться(つまずく)точить(研ぐ)などの動詞で使われます。
Он ударился о стену.(彼は壁にぶつかった)
Я вытер ноги об ковёр(私はカーペットで足を拭いた)
Кошка точит когти обо всю мебель(猫が家具全体で爪を研いでいる)
про「〜について(口語的)」 → Мы говорим про фильм.(私たちは映画について話している)
с (意味: 約、およそ)「〜くらい」 → Он пробыл там с неделю.(彼はそこに1週間ほど滞在した)
по (意味: 範囲、限度)「〜に沿って/〜まで」 → Он стоял по шею в воде.(彼は首まで水に浸かっていた)
сквозь「〜を通して(障害物の貫通)」 → Свет прошёл сквозь туман.(光が霧を通り抜けた)