Indo-European language family
文字と発音
Pronunciation
濁点や半濁点は日本語固有の記号ですが、ヒンディー語で使われる補助記号はまた特殊です。
ヴィラーマ
脱母音記号 ्(ヴィラーマ sa:विराम, ハラント hi:हलंत)はアブギダ文字であるデヴァナガリ文字の母音を取り除く機能があります。
शरद् śarad (शरत् śarat) 「秋」最後の文字の下、ヴィラーマが使われています。これは最後の文字が da (ta) でないことを示す記号です。あくまで d (t) で終わる単語です。
「ウ」あるいは「ル」
これらは母音なのですが似ていて紛らわしいです。ひらがなの「う」の形なのが短母音の「ウ」で、それをひっくり返したのが長母音の「ウー」です。
उ ु u [u]
ऊ ू ū [uː]
ヒンディー語では母音であるところの「ル」です。これも形が類似します。
ऋ ृ ṛ [ɹ̩]
ヌクター
文字の上の点は鼻母音を示すのですが、この点「ヌクター ़」は子音そのものを変えます。
ड ḍ [ɖ] は有声そり舌破裂音「ダ」なのですが、ヌクターがつくとそり舌はじき音 「ラ」ड़ ṛ [ɽ]です。つまりそら [soɽa]の「ラ」です。
よく似た文字 ङ ṅ [ŋ] はまったくの別物ですので注意が必要です。
ण (ṇa)
ヒンディー語の N は多いのですが、このそり舌鼻音[ɳ]は「ル」のような発音の N です。
タミル語での ண (ṇa) の音で、舌をそらせて発音します。鼻音です。
あとの N は ङ ṅ [ŋ]「ンガ」、ञ ñ [ɲ]「ニャ」、न n [n]「ン」です。
長母音・短母音
ヒンディー語の母音は長母音・短母音の組み合わせで説明されることが多いですが、実際の発音ではそうではなく、別の発音である場合があります。
ISOでの表記も a-ā, i-ī, u-ū は短母音・長母音ですが、ē-ai, ō-ou の対比は母音の長さではありません。
IPAで表記すれば分かりやすいでしょうか。図の矢印が短母音・長母音の組み合わせです。